スペイン、セビーリャの記憶。永川玲二さん。

著書『ことばの政治学』を読み、個としての考え方、生き方に影響を受けた英文学者、永川玲二さんのweb記念館がプレオープン。「旅人玲二」のところに私の文章も載っています。

セビーリャを訪れたのは、確か10年前の夏。夕暮れどき、グアダルキビル川のほとりでシュリンプをつまみ、ビールを1杯飲んでホテルに戻ると、広場には人、人、人だかり。その数に驚きました。デモだったのか若者たちも混じってシュプレヒコールも響き、おののいた記憶が。

時間が経てば人も散り散り、夜も更けたらトリアナ地区のタブラオをハシゴ。深夜になると始まるマダムの店でシャッターが上がるのを心待ちにし、セビージャナスの圧倒的な声量と迫力に酔い、唄い、踊る。大航海時代にコロンブスのパトロンだったイサベル女王を愛し、放浪の王子のようにセビーリャで生きた玲二さんの幻を追った旅の時間。願わくば、下駄履きで自転車に乗っている玲二さんに声をかけたかったな。

それはそうと映画『居眠り磐音』で配布されていた作家、佐伯泰英さんの冊子『闘牛士トオリ』は、半世紀ほど前に闘牛士を撮影していたカメラマンの佐伯さんと、旅人を受け入れる玲二さんの時間があってこその流れと思って読むと、さらに味わい深い気分になりました。

弟の祐三さん、姪っ子の晶子ちゃん、その節は大変お世話になりました!