『ORBISマガジン』2020 年1月号より、連載「世界のここち巡り」を執筆しています。
1ヶ月に一か所、今まで巡ったなかでも特にここちの良かった出来事、風景について書いています。ここ数年は意識して国内を巡り、プライベートでの海外は2年に一度、1ヶ月ほどかけて旅行者として土地を巡ることを心がけてきました。なので、ずいぶんと前に訪れた場所のことも書いていますが、数年前の記憶でも、鮮烈に覚えているのは、風や気温、植物の香りなど。五感で覚えた旅の肌触りは忘れないのだなあと改めて実感しています。
ORBISマガジンも手に取った実感が、しっとりと柔らかく、これもまた忘れない手触りであります。いまの季節に知りたいことや各媒体で活躍されている執筆陣のコラムなど大人の女性に読み応えのあるコンテンツが満載です。ORBISの商品カタログもついて毎回送られてくるので楽しみにしている愛読者も多いそう。SNSに連載開始のことを書いたら、数人から読んでるよと連絡が来ました。旅の話を通じて五感を研ぎ澄ました先にある“ここち良さ”を共有できたら、幸いです。
ここち良く感じられる、にはベースがいる。それを意識し始めたのは旅の移動が多くなり、ミッションをコンプリートすることが目的になっていたのを気づいてから。それから、暮らしぶりや働き方、人やSNSとの向き合い方も変えました。長い変容のとき、辛いなと心身ともに感じることもありましたが、いまこの連載を書きながら振り返ると、移動ばかりしていた当時も意識して緩めるようにしていたんだなと。
頭を空っぽにすると、何もないぶん何かいいものが入ってきます。私の場合、移動する時間、ふと目や耳に飛び込んできたものが何かの始まりに繋がることも多く、先日、海辺に描かれたメッセージを読んでビーチクリーンという新しい世界が始まりました。日常を旅するように過ごせば、近くも、遠くも、ここち良く。