今まで築いてきた安穏とした生活は
針のむしろに座っているようなものだと気づいた 2011年。
おそらく、私でなくとも多くの人がそう感じているだろう。
多くの情報に踊らされ(どちらかとえば自分で踊り)、
恐怖や不安という悪魔に心と頭の中を支配されそうになったときもあった。
そんななか、今年は忘れられないような素敵な方々と
活動や仕事、プライベートを通して出会いがあり、
また、これまでお付き合いしてきた人たちとも
改めて関係性を見つめ直すことができた1年だったともいえる。
このベーコンとの出会いがなかったら、
きっと春先は元気がなかっただろうなあ。
連れていってくれてありがとう、Pちゃん!
このベーコンを愛情こめて作る湘南かまた食堂の鎌田香さん、
それを一緒に味わってともに感動した講談社の大川朋子さん、
そしてこれまで何度も一緒に仕事をしてきた盟友であるADの藤牧朝子さん、
さまざまな悪条件のなか、綿密で美味しそうなイラストを描いてくださったイラストレーターの稲月ちほさん。
この4人と励まし合い、人に渡すと
ちょっぴり元気をおすそわけできそうな本
「SMOKE~週末、中華鍋で肉を燻す」を
完成させることができたのは
今年一番の出来事だったと思う。
また、地方行脚の中でもさまざまな個性あふれる人たちに出会った。
人と人が出会うと、必ず行くべきどこかにいざなわれる。
例えば、とても近い存在であっても
違う価値観を持っていることがわかると、
それを避けるのではなく共存していくこと。
目の前にあること以外のことに
無関心にならないこと。
それに気づくために、何かが起きる。
自分を起点にして移動距離は横、精神世界は縦。
まさに縦横無尽に行ったりきたりした1年だった。
先ほど、年の瀬のご挨拶として恩師に電話したら
このところの座右の銘を教えてあげよう、というので
どんな凄い言葉が出てくるのかと思ったら、
「犬も歩けば棒に当たる」
という。
思わず噴き出しそうになったが、言い得て妙。
彼は、確か私の母と同じ年齢だったと思うが
59歳の6月3日に自分が経営する会社をごくろーさんといって引退した。
しばらくはおとなしくして、ちょっぴり老けた気がしたのだが、
元来の性格からなのか、じっとしていられず
さまざまなところに出かけ始めてからがぜん若々しくなっていった。
今は海外で活躍する日本人をつなぐ「和僑会」なるものをサポートし、
1年のほとんどを中国と日本に行ったり来たりしている。
素直に自分のままに従っていくと、人は人に出会っていき
導かれていくものなのだ、と彼を見て感じた。
私は、自分がトラベルライターとして
外に何かを探しに出かけてばかりいるのは
私生活が満たされておらず、内側が空っぽだからなのかと
ずいぶん悩み、模索していたのだが
最近はああ、これをやっていることで私は幸せなんだと気づいた。
一度立ち止まらないと気づかないなんてバッカだなあ。
どのみち、どこかで立ち止まらないと、
もっともらしい美辞麗句を並べていくことに行き詰まり、
この先自分自身が立ち行かなくなっていくのだろうと危惧はしていたので
この機会に気づくことができてよかったと思う。
「幸せは見つけに行くものではない、今そこにあるものだよ」
かっかっかっと笑いながら言う恩師の言葉は、
何度もどこかで聞いたことがあるようなものだったが
今の私にはとても強く響いた。
それは、私が恩師の背景を知り、
恩師も私の背景を理解してくれているからもあるだろう。
はああ、自分という小さき存在の
ほんの一端を知るのになんと長くかかったことか。
まあ、そういうわけでちょっぴり心と体の動きに一致感が出たところで
来年は真面目な要素ありつつ、ちょっとは肩の力を抜いた面白見聞録を
雑誌なり、WEBなり、映像なりでお届けできるのではないだろうか。
そして、今後、腰を据えて取り組みたい活動もあり、
そのために仕事のベースを別場所に移すことを考えている。
川の流れのように動きを止めない。
それが、私の「フツーの幸せ」なのだと気づいた2011年だった。
では、来年もよかったら見に来てください。
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shot magazine
どこかのサイトが動いていたら、私は元気にやってます。
あと、ANA国際線に搭載されている
機内エンタテインメント誌 SKY CHANNELの連載
「トラベルライター朝比奈千鶴の旅ってこんなに面白い!」も36回目を数え、
新たにサントリーウエルネスオンラインメルマガ
(よかったら会員ご登録をお願いたします)での連載も始まります。
次々とホリスティックな旅のカタチをご提案していきますので
今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。
では、よいお年を。