ロマ(ジプシー)の血をひくインド、ルーマニア、
マケドニア、スペインの4バンドの6週間にわたる北米ツアー
「ジプシーキャラバンツアー」を追いかけたこの映画は
音楽とともに、演者の人生をも追うドキュメンタリーだ。
ロマの起源はインド北西部。
それを知ったのは恥ずかしながら、昨年の今頃のことだった。
遊牧民の織物や服装を追いかけてグジャラート、
そして布織物など手工芸品や
太陽光発電などの技術教育等によって
最低層カーストの人たちを救う
ベアフットカレッジを取材するために
ラジャスタンを訪れていた私は、
移動のため、現地の人とともに
しょっちゅうポンコツ4WDで砂漠を走っていた。
その際にラジオから流れていたのが
甲高い声で半音を上げたり下げたりするような
短調のメロディと打楽器の繰り返し。
思わずこちらが手拍子をしたくなってしまうリズム。
これまでに聴いたことのあるシタールや
宮廷音楽の優雅な響きと随分違っていたので
現地の人に「これは何か」と聞いたら、ロマの音楽だという。
情熱的ながらも、どこか哀愁を帯びている大地の音楽。
そのせつないメロディとリズムが自分の五感に深く響いたらしく、
今でも、砂漠の映像を見ると、あの「音」が鮮やかに蘇ってくる。
砂漠で生まれた、喉の奥から最後の一滴を求めるような渇望の声。
一般社会から虐げられてきた悲しみの歴史を乗り越え、
砂漠から湧き出る水のごとき、大いなる喜びを
彼らは音楽で共有する。
音楽は、生きる力。
人間の喜怒哀楽をストレートにあらわす彼らの音楽は、
国境をいくつも越えたとしても、ロマの生き方、
感情の根本は変わらないと音に伝えられている。
ロマは音楽を学校で習ったりはしない。
それは代々、見たまま、感じたままを模倣し、
それらを自己で咀嚼して表現していくことから始まっている。
「五感に刻まれる記憶」というのは、
頭で覚えようとする「暗記」と違って、体に染みつく。
この映画を通して、昨年そんな体験をしたことを、ふと思い出した。
写真上は牛乳の甘いお菓子をつくるひと。
写真下はグジャラートで出会ったラバリ族の女性。
ブログの再開を待ってました。
ゆるゆるっとの更新を楽しみにしてま~す。
♪℃ネーサン
コメントありがとうございます。
昨日帰国したばかりの
ニューメキシコネタも
早々にアップする予定なので
ぜひ、見に来てくださいね。