2020年の年明けから地球上を騒がせている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はまだ終わりが見えていない。
2003年のSARS 終息宣言の際には、いち早く香港に出かけていったが、今回は先々予定していた海外渡航もどうなるかわからない。とりあえず、先方はいま、鎖国状態なのだから。

欧州やアメリカ、台湾などここ数日の対応と、春節、クルーズ船に始まった日本の対応を比べて、茹でカエルの話を思い出した。
熱湯の中に入れられたカエルはすぐに飛び出して助かるが、ぬるいお湯に浸かったカエルはそのまま茹で上がって死んでしまうという話。
いま、日本国内は、ぬるい温度のお風呂状態なのかもしれない。

いつも通っているプールが閉館していて、泳げないのがストレス。運動不足を解消しようと海岸を散歩していたら、桜貝が打ち上がっていた。砂浜に、春を見つけた。

そろそろ桜も開花し始めたというのに、花見も自粛要請が出ている。
歩き花見なら良いという。
毎年、目黒川沿いを歩き花見していたものとしては、例年とあまり変わらない。
とはいえ、経済活動が冷え込んでしまうのはじわじわと家計を逼迫するので精神衛生的によろしくない。
先行きへの不安や恐れはそれこそウイルスのように周囲に広がっていくので、なるだけ冷静にゆったりとした心持ちでいる強さを持ちたいと思う。

桜貝色のネイルも可愛いなと思いながら砂浜を歩く。片手にはビーチクリーンのゴミ袋とトングを持って。

ある日、久しぶりに海岸を散歩したら、外国人男性がひとり、なにやら砂の上に文字を描いていたので何だろうとのぞいてみたら、
「RESPECT THE OCEAN PROTECT WHAT YOU LOVE」
と刻んである。

ちょうどしばらくかかっていた原稿を脱稿したばかりで、頭の中は空っぽだった。そのせいか、彼の行為と言葉の強さがすっと私の中に入ってきてしまった。

instagram @onedropjapan のラスティさんは、とても気さくな人だった。
ハワイのノースショアから湘南に移り住んで、海辺のプラスチックゴミの多さに驚いたのだそう。
いろいろ、ゴミ関連の動画を見せてくれたが、なかでも衝撃的だったのは鳥や魚たちの胃の中から出てくるプラゴミの多いこと。そしてゴミだらけの海岸でもものともせず、平気で海に入っているサーファーの動画も酷かった。

「ハワイでは、目の前にあるゴミは拾ってからサーフィンするよ。だってきれいな場所で波乗りしたいじゃない」
ごもっとも。昔この中でサーフィンをしていた自分としては、早く波乗りしたい人の気持ちも汲めるので耳が痛いながらも、非常に悩ましい言葉であった。

出会った翌日から、私もトングとゴミ袋を持って歩いてみた。暖かな日差しの下、ゴミを拾っていると背中から汗ばんできた。そこまで初夏がやってきているようだ。

2020年3月19日のグラフティ。出会って3日目の今日は、ラスティさんのお子さんも一緒だった。他にも3名増えたようで、何より。

思索に耽りながら、黙々とひとり、ゴミを拾い、歩く。周囲からみたらシュールな光景に見えるかもしれないが、これが結構ハマるので、新しい趣味になりそうだ。

何かのため、と意識しないほうがいい。どんどん格好をつけたくなるから。淡々と続けて、世知辛いコロナタイムでも自分なりの良い時間を過ごそうと思う。

自分自身が心身ともに健康であること。コロナウイルスは移らない、移さない。
それさえ意識できていれば、必要以上に怯えることはないはずだ。

ラスティさんのおかげで、久しぶりに、旅に出ているような時間を過ごした。
ちょっと外に出ると、”犬も歩けば、棒に当たる”。