味わい体験

昨夜は<日本 味の宿>設立10周年記念シンポジウム&交流会で東京アメリカンクラブへ。

日本各地の土地と文化に根ざした味わい深い宿の集まりだけあって、各地から寄せられた素材が素晴らしく。特にお肉は近江、能登、神戸、但馬、飛騨、山形、福島etc……とブランド牛が勢ぞろい。作家の柏井壽さんや小山薫堂さんらによる「人はなぜ、旅をするのか」をテーマにしたトークショーが楽しく。ただ、みなさん、お話しが上手すぎてタイムオーバー。

その後、パーティーで乾杯の音頭をとった小山薫堂さんは独自のデータを入れたChatGPTで生成した挨拶文を読んだ。小山さんの知見がちゃんと組み込まれた言葉選びをしており、いわゆる定型文ではなくオリジナルになっている。澱みなく、全く引っかかるところがなかった。おそるべし、AI。とはいえ、一夜経って思い出すのは、トークショーの50歳のときに一カ月間休みをとってあちこちに旅をされた話やクルーズ、バス会社の皆さんがコロナ禍で社内の体制を整える時間が持てた話。歩き続けるために、文字通り少なく止まること、休という文字は木に人が寄り添っているなど小山さんのキラーフレーズがしっかりと脳内に残る。

AIには、想像はできても体験はできない。そもそも、体験は個人的なもので、コピー不可能。味わいは体験した人にしか感じられない。

とある宿の常連さんというマダムは、「連れ合いがいなくて寂しくなったけど、宿の集まりがあると嬉しくて出かけるの」と目を細めながら思い出の宿から提供されたお肉を食べていた。思い出と共に昨夜ひとりで会場までやってきた行動に、いかにその宿が彼女にとって大切な場所なのかが伝わってきた。短い交流のひととき、AIには語れない「とっておきの宿体験」の話を常連さんたちに伺えたのは私にとっても味わいのある体験だった。

お土産に福砂屋のカステラと阿蘇小國杖立温泉の入浴剤、草津の花インゲン甘納豆をいただいた。食わず嫌いの甘納豆、ひと口食べたらめちゃくちゃ美味しかったんですが!

標高1,000m以上の高地で栽培されているという花インゲンは、実が大きくて食べ応えがあります。ほっくりした食感とやわらな甘みがコーヒーに合う。

福砂屋のカステラは、全カステラの中で一番好き。独特のしっとり感とザラメのシャリっとした食感のハーモニーがたまらない。本日のおやつにいただきます🙏